こんにちは。行政書士Astra法務事務所です。
前回は、個別支援計画がなぜ大切なのかについて、私自身が学んだことを整理しました。
個別支援計画は、利用者一人ひとりの希望や思いを、日々の支援につなげていくためのものです。
では、実際に行われている支援は、どのように確認すればよいのでしょうか。
そこで大切になるのが、日々の支援記録です。
今回は、個別支援計画と日々の支援記録のつながりについて、グループホームでの支援を例に考えてみたいと思います。
1.個別支援計画は、支援の方向性を示すもの
個別支援計画には、本人の希望や目標、それを実現するための支援内容などが記載されます。
例えば、グループホームを利用している方が「身の回りのことを、少しずつ自分でできるようになりたい」と希望していたとします。
その希望を踏まえ、本人の状況に応じて、身の回りのことを自分で行えるよう支援するという目標を設定することが考えられます。
このように、個別支援計画は、事業所がどのような方向性で支援を行っていくのかを示すものです。
しかし、計画を作成しただけでは、実際にどのような支援が行われ、本人にどのような変化があったのかまでは分かりません。
そこで、日々の支援記録が重要になります。
2.日々の支援記録は、実際の支援を振り返るためのもの
日々の支援記録には、実際に行った支援や、そのときの本人の様子などを記録します。
先ほどの例で考えてみましょう。
「身の回りのことを、少しずつ自分でできるようになりたい」という目標がある場合、日々の記録には、本人がどのようなことを自分で行ったのか、どのような場面で支援が必要だったのかなどを残すことが考えられます。
例えば、次のような記録です。
記録の例
「夕食後、本人は使った食器を自身で片付け始めた。『食器を片付ける場所はどこですか』と尋ねられたので、『食器はこちらに片付けてください。』と伝え、場所を案内した。その後は自分で片付けることができた。」
この記録からは、本人が自分から行動したことや、どのような支援が必要だったのかが分かります。
単に「夕食後、食器を片付けた」と記録するだけでなく、本人の行動や支援の内容を具体的に残すことで、その後の支援を考えるための情報になります。
もちろん、すべての記録に長い文章が必要というわけではありません。大切なのは、記録の目的に応じて、必要な事実を分かりやすく残すことです。
3.計画と記録がつながると、支援を振り返ることができる
個別支援計画と日々の支援記録は、それぞれ別の書類ですが、内容がつながっていることが大切です。
個別支援計画に目標が書かれていても、日々の記録から、その目標に向けてどのような支援を行っているのかが分からなければ、計画が実際の支援に生かされているかを確認しにくくなります。
反対に、日々の記録を振り返ることで、本人の変化や支援の効果、今後の課題が見えてくることがあります。
例えば、本人が自分でできることが増えてきたのであれば、今後の目標や支援内容を検討する際の参考になります。
一方で、同じ場面で何度も困っている様子が見られるのであれば、支援方法を工夫する必要があるかもしれません。
このように、日々の記録は、単に過去の出来事を残すためだけのものではありません。
本人の状況を把握し、今後の支援を考えるための大切な情報でもあるのです。
4.日々の記録を、モニタリングや計画の見直しに生かす
個別支援計画は、作成して終わりではありません。
実際の支援状況や本人の変化を確認し、目標の達成状況や支援内容が適切かどうかを振り返ることが必要です。
その際に役立つのが、日々の支援記録です。
日々の記録を積み重ねていくことで、本人の変化を具体的に把握しやすくなります。
例えば、計画を作成した当初は職員の声かけが必要だったことについて、最近では本人が自分から取り組める場面が増えてきたとします。
そうした変化を記録から確認できれば、本人の成長を踏まえて、今後の支援について検討できます。
反対に、計画に掲げた目標に向けた変化があまり見られない場合には、本人の希望や状況を改めて確認し、支援方法が適切かどうかを考えることも大切です。
日々の記録をモニタリングに生かし、その結果を今後の支援や計画の見直しにつなげていく。
この繰り返しが、よりよい支援につながっていくのだと思います。
5.書類を整えることと、支援を充実させること
個別支援計画や日々の支援記録は、事業所の運営において大切な書類です。
運営指導などに備えて、必要な書類を整備し、適切に記録・保存することも欠かせません。
ただ、書類をそろえることだけが目的になってしまっては、本来の意味が薄れてしまいます。
個別支援計画に本人の希望が反映されているか。
計画に沿った支援が行われているか。
日々の記録から、本人の様子や変化を把握できるか。
そして、その情報が今後の支援に生かされているか。
こうしたつながりを意識することが大切なのだと感じます。
まとめ
今回は、個別支援計画と日々の支援記録のつながりについて整理しました。
個別支援計画が支援の方向性を示すものであるのに対し、日々の支援記録は、実際に行った支援や本人の様子を振り返るためのものです。
そして、日々の記録をモニタリングや計画の見直しに生かすことで、本人の希望に沿った支援を考え続けることができます。
私自身、障害福祉について学ぶ中で、書類は一つひとつを個別に見るだけでなく、それぞれがどのようにつながっているのかを理解することも大切だと感じています。
これからも、法令や公的な資料を確認しながら、障害福祉事業所の皆さまにとって、日々の運営を考えるきっかけとなる情報を発信していきたいと思います。
参考資料
- 厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等の指導監査について」
- 厚生労働省「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン等」
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