意思決定支援の基本原則とは?本人の思いを大切にする支援について

こんにちは。行政書士Astra法務事務所です。

障害福祉サービスの支援では、利用者さんの安全を守ることや、日常生活を支えることが大切です。

一方で、支援する側が「こちらのほうがよいだろう」と考えることと、本人が望んでいることが、必ずしも同じとは限りません。

では、本人の希望と支援者さんの考えが違うとき、どのように向き合えばよいのでしょうか。

今回は、厚生労働省の「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」に掲げられている基本原則を、私なりに整理してみたいと思います。

1.本人への支援は、自己決定の尊重に基づいて行う

1つ目の原則は、本人の自己決定を尊重することです。

例えば、グループホームで暮らす利用者さんが、休日の過ごし方や食事、着る服などを選ぶ場面を考えてみます。

支援者さんから見ると、別の選択のほうがよいと思うことがあるかもしれません。

しかし、まず大切なのは、本人が何を望んでいるのかを確認することです。

言葉で伝えることが難しい場合でも、選択肢を分かりやすく伝えたり、写真や絵を使ったり、実際に体験してもらったりすることで、本人の意思を確認できることがあります。

本人が自分で選べるように、伝え方や環境を工夫すること。

これも、意思決定を支える大切な支援のひとつです。

2.支援者にとって不合理に思える選択でも、尊重する

2つ目の原則は、支援者さんの価値観だけで本人の選択を否定しないことです。

例えば、支援者さんから見ると「その服より、こちらの服のほうがよいのでは」と思うことがあるかもしれません。

あるいは、休日は外出したほうが楽しめるのではないか、と考えることもあるでしょう。

しかし、本人には本人の好みや考えがあります。

支援者さんにとって合理的に思えない選択であっても、他者の権利を侵害しないのであれば、その選択を尊重する姿勢が求められます。

もちろん、危険がある場合などに何も対応しなくてよい、という意味ではありません。

必要な情報を本人に分かりやすく伝え、リスクへの対応を考えながら、本人の意思をできる限り尊重することが大切です。

「自分ならこうする」という考えだけで、本人の選択を決めてしまわないようにしたいものです。

3.本人の意思を確認することが難しい場合は?

3つ目の原則は、本人の自己決定や意思の確認がどうしても難しい場合の考え方です。

本人の意思を確認できないからといって、すぐに支援者だけで決めてしまうわけではありません。

本人をよく知る家族や職員などの関係者が集まり、さまざまな情報をもとに、本人が何を望んでいるのかを考えていきます。

例えば、次のような情報が手がかりになります。

  • 日頃の表情や行動、感情の変化
  • 本人が好んでいること、苦手としていること
  • これまでの生活歴や経験
  • 家族や周囲の人との関係
  • 過去に本人が示した希望や意思

大切なのは、関係者の印象だけで判断するのではなく、どのような情報をもとに、なぜそのように考えたのか、根拠を明確にすることです。

また、関係者の意見が一致しない場合にも、それぞれが持つ情報を共有し、本人の意思や好みを慎重に考えていく必要があります。

本人の意思を推定するためには、日頃から本人をよく知り、関わりの中で得られた情報を記録しておくことも大切です。

4.意思決定支援は、特別な場面だけのものではありません

意思決定支援という言葉を聞くと、サービスの利用先を決めるときや、生活環境を大きく変えるときなど、特別な場面を思い浮かべるかもしれません。

しかし、日常生活の中にも、本人が選択する機会はたくさんあります。

例えば、

  • 今日、何を着るか
  • 何を食べたいか
  • 休日をどのように過ごすか
  • どのような活動に参加したいか

こうした日々の選択を大切にすることも、意思決定支援につながります。

一つひとつは小さな選択に見えるかもしれません。

それでも、自分の希望を伝え、自分で選ぶ経験を積み重ねることは、その人らしい暮らしを支えるうえで大切だと感じます。

まとめ

今回、意思決定支援の基本原則を整理してみて、特に大切だと感じたのは次の3点です。

  • 本人が自分で選べるように支援すること
  • 支援者さんの価値観だけで本人の選択を否定しないこと
  • 本人の意思を確認することが難しい場合も、情報を集め、根拠を明確にして考えること

支援する側には、経験や知識から「こうしたほうがよいのでは」と考える場面もあると思います。

だからこそ、自分たちの考えが先になっていないか、本人の意思を確認するためにできる工夫はないか、と立ち止まって考えることが大切なのではないでしょうか。

私自身も制度を学びながら、本人の意思を尊重するとはどういうことなのか、考え続けていきたいと思います。

Astra法務事務所から

障害福祉サービスの運営では、法令や基準を守ることに加えて、利用者さんの意思や尊厳を大切にする視点も欠かせません。

当事務所では、関係法令や通知、ガイドラインなどを確認しながら、事業所の運営に役立つ情報を分かりやすくお伝えしていきます。

参考資料

厚生労働省「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」

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